感情ケア for 慢性疾患

介護中の「これで良いのかな」という気持ちに寄り添う:自己肯定感を育む感情ケア

Tags: 介護ストレス, 感情ケア, 自己肯定感, セルフケア, 罪悪感

慢性疾患を抱える方を介護する日々の中で、「本当にこれで良いのだろうか」「もっと何かできることがあるのではないか」と、ふとした瞬間に心がざわつくことはございませんか。あるいは、配偶者の方の状況が思わしくない時に、ご自身を責めるような気持ちになってしまうこともあるかもしれません。

このような「これで良いのかな」という不安や、ご自身を責めてしまう気持ちは、介護を一生懸命されている方ほど抱えやすいものです。それは、大切な方を思い、真摯に向き合っている証拠でもあります。

このページでは、そうした介護者の方の心に寄り添い、ご自身の心を大切にしながら、より穏やかに日々を過ごすためのヒントをお伝えいたします。

介護中に「これで良いのかな」と感じる理由

なぜ、懸命に介護をされているにもかかわらず、こうした気持ちが湧いてくるのでしょうか。いくつか共通する理由が考えられます。

これらの感情は、決して特別なことではありません。多くの介護者が経験する、ごく自然な心の動きなのです。

自分を責める気持ちと向き合うためのステップ

ご自身を責めてしまう気持ちや、「これで良いのかな」という不安な感情を少しでも和らげるために、具体的な三つのステップをご紹介します。

ステップ1:自分の感情に気づき、言葉にする

まずは、今ご自身が何を感じているのかに意識を向けてみましょう。 「自分は今、〇〇について不安を感じている」「〇〇のことで、自分を責めている」と、心の中で呟いたり、メモに書き出したりするだけでも構いません。

感情に名前をつけることで、その感情と少し距離を置き、客観的に見つめることができるようになります。これは、感情に飲み込まれず、冷静に対処するための大切な一歩です。

ステップ2:完璧でなくても良いと受け入れる

介護には多くの困難が伴います。時には、思い通りにいかないこと、手を尽くしても改善しないこともあります。 そうした時に、「自分の努力が足りないせいだ」とご自身を責めてしまうのではなく、「できる限りのことはした」と、今のご自身の頑張りを認めてあげることが大切です。

「今日はここまでできた」「少し休むことができた」といった、小さな達成感や努力に目を向け、ご自身を労う時間も必要です。完璧な介護を目指すのではなく、「十分頑張っている」とご自身に語りかけてみましょう。

ステップ3:誰かに話してみる勇気を持つ

一人で抱え込まずに、ご自身の気持ちを誰かに話してみることも、心を軽くする上で非常に有効です。

話すことで、気持ちの整理がついたり、新しい視点に気づけたりするだけでなく、「自分は一人ではない」という安心感を得ることができます。

自己肯定感を育むための日常の心がけ

「自己肯定感」とは、「自分には価値がある」「今の自分で良い」と、ありのままの自分を受け入れられる気持ちのことです。介護中にこれを保つことは難しいと感じるかもしれませんが、日々の小さな心がけで育むことができます。

最後に

慢性疾患の介護は、長期にわたることが多く、その中で感情の波を経験することは自然なことです。「これで良いのかな」という気持ちや、ご自身を責める気持ちは、決して弱い心を示すものではありません。むしろ、真剣に向き合っている証拠なのです。

ご自身の心と体を大切にすること、そして完璧を求めすぎないことが、長く穏やかに介護を続けていくための大切な秘訣です。必要だと感じた時には、遠慮なく周りのサポートを頼ってください。